「…一旦宿営地に帰投する」

「ええっ?」

小川の言葉に、麗華は思わず声を上げる。

「もうすぐ日が暮れるんですよっ?豊田さん達の捜索はどうするんですかっ?」

「日没が近いからこそだ」

小川は振り向く。

夜間の山中での捜索は危険が伴う。

二重遭難の可能性も否定できないし、カマドウマ達の襲撃の恐れもある。

何より装備の整っていない小川達二人だけだ。

彼らは夜間照明装備すら持っていない。

欲を言えばJGVS-V8(個人用暗視装置)が欲しいくらいだ。