谷口達も小川達も、ある程度の戦闘装備をしているとはいえ、長期戦への備えはしていない。

そもそもがこの近辺には、小川分隊の四人しかいないのだ。

カマドウマの大群に対抗できるだけの戦力がない。

加えて遭難時に、谷口達が装備品を失っていたとしたら…。

満足な装備もないまま、山中で補給を絶たれてカマドウマの襲撃を受ければ一溜まりもない。

「……」

先頭を走っていた小川の足が止まる。

「小川分隊長…?」

後続の麗華が不思議そうに彼の顔を見た。