山中、息を切らして小川と麗華が走る。

もう日が暮れかけていた。

遭難してしまった谷口と豊田の安否が心配だ。

豊田は一般隊員だが、谷口は様々なサバイバルスキルを身につけている空挺隊員にしてレンジャー。

少々の事ならば心配はない。

例え数日間山中に置き去りにされたとしても、生き延びる事ができるだろう。

しかし…。

小川は彼らの生存自活の事よりも、この山に…いや、この被災地周辺に繁殖しつつあるカマドウマ達の襲撃を受けていないか、その事の方が気掛かりだった。