しかし。

「ほら、谷口」

迷彩服3型のみで、雨に打たれながら瓦礫の撤去作業を始める谷口に、小川は自分の着ているポンチョを貸し与えた。

「幾ら第一空挺の訓練で鍛え込んでるからって、雨に打たれてたら風邪を引く…体は大事にしろ」

「……」

谷口は少し驚いたような顔で、小川を見た。

分隊長として、小川は谷口をスパイなどという色眼鏡で見る気はない。

隊に配属されてきた以上は、谷口も豊田や麗華と同じ部下。

同じように厳しく接するし、同じように気遣ってやるつもりだった。