野外において患者収容、手術、医療行為に使用する病院天幕の中。

「いつっ…つぅ…」

谷口が上半身裸のまま、背中の裂傷の治療を受けている。

鍛え上げられた広背筋に深々と刻み込まれた、生体兵器の鉤爪の三本の傷痕。

出血もかなり多く、もう少し処置が遅ければ輸血の必要すらあったらしい。

現在医官によって縫合処置中だ。

「うわぁ…痛そう…」

傍らで見ていた豊田が、顔を顰める。

心配で治療に付き添ったものの、血や傷口を直視するには堪えられないのか、時折視線を逸らす。

「外で待ってればいいだろう」

思わずそんな事を呟く谷口に。

「動かないで、上手く縫合できませんから」

医官が言う。

「…早いとこお願いします」

谷口も痛いのは苦手のようだった。