一方、こちらは谷口達とは離れた位置で瓦礫撤去作業をしていた小川と麗華。

別行動こそとっていたが、銃声と豊田の悲鳴で、すぐに異変に気付いた。

「麗華、銃は持っているな?」

自らも89式小銃の安全装置(セイフティ)を解除しながら小川が言う。

谷口達がカマドウマと遭遇したのは最早明白だった。

群れで行動するあのカマドウマに、谷口と豊田だけで応戦するのは無謀。

すぐに援護に向かわなければ。

「急ぐぞ。足元が悪い、気をつけろ」

「はいっ」

小川と麗華はぬかるんだ山道を駆け登っていった。