水を浴びせられる音。

バケツが床を転がる音。

殴打の音。

その後、電流がスパークする音。

四方をコンクリートの壁に囲まれた薄暗い裸電球のみの部屋の中で、隣の部屋から聞こえてくるそれらの音を、小川分隊の隊員達は沈痛な面持ちで聞いている。

後ろ手に縛られたまま、それらの音をただ聞く事しかできない。

悔しさに歯噛みする。

それらの音が聞こえる中…終ぞ、小川の悲鳴や命乞いだけは最後まで聞こえてこなかった…。