「ちょっと前に騒ぎになったでしょ?米国防総省の職員が匿名で流した情報…米軍がディアボの遺伝子を軍事転用して生物兵器を作っているって…さっきのがその試作型…私達が東京の地下鉄構内で交戦した生体兵器だよ」

麗華が三浦に説明する。

「何百発と弾丸を撃ち込んで、06式小銃擲弾や手榴弾も食らわせて、挙句C4の爆発にまで巻き込まれて、瓦礫の下敷きになった筈なのに…あの生体兵器は死んでいなかった…さっきのヘリが輸送していたのが証拠だ」

谷口も補足する。

ここにいる小川分隊の隊員達は、戦術自衛隊の間ではディアボから東京を奪還した英雄的な存在だ。

そんな百戦錬磨の隊員達でさえ、倒し損ねたという生体兵器。

その恐ろしいまでの生命力と戦闘力を想像して、三浦は思わず息を呑む。