三浦以外の全ての隊員が、『それ』を見て驚愕していた。

ハインドがワイヤーで吊り下げているのは、荷物というより『人』だった。

身長は2メートル以上、全身の皮膚は焼け爛れた上に蒼白く、頭皮などは垂れ下がって顔の上半分を覆い尽くしてしまっている。

その頭には、鎖の繋がった鉄杭が突き刺さっていた。

体には黒革の衣服。

見ようによっては拘束衣のようにも見える。

両手には籠手のようなものをはめており、それぞれ右手の甲には金属製のバールと鎖分銅が二本、左手の甲には鉤爪が装着されていた。

左肩には、まるでギロチンのような三日月形の刃…。

紛れもなく『奴』。

半年前に東京の地下鉄で小川分隊が命懸けで戦いを挑み、構内爆破で瓦礫の下敷きとなって絶命した筈の、あの生体兵器だった。