やがて、ジャングルにも日の光が差し込んでくる。

まだ夜が明け切らない早朝。

小川分隊は行軍の準備を整えていた。

装備品を身につけ、戦闘糧食の包装やゴミさえも何一つ残さない。

それらのゴミでさえ、小川達がこの場にいた痕跡となり、敵に追跡されるかもしれないからだ。

潜入とは、一切の存在を知られない事。

一切の痕跡を残さない事。

敵性地域において、潜入工作員は『幽霊』でなければならないのだ。