先頭を歩く谷口と三浦の額に、汗が滲む。

河の中を進んだにもかかわらず、全身にはじっとりと汗をかいていた。

それは小川や麗華、後方警戒の小暮や豊田も一緒だ。

気が狂いそうなほどの蒸し暑さ。

サウナの中にいるようだ。

「くそ…」

谷口が毒づく。

水筒の中の水がもう殆どない。

それでも。

「豊田、飲め」

彼は豊田に水筒を渡す。

「え、でも…」

「大丈夫だ」

谷口は近くにあった木の枝を89式多用途銃剣で切断する。

切り口からボタボタと零れ出す多量の水分。

「こういうサバイバル知識も役に立つ」

そう言って、彼は木の枝に口を寄せた。