河川哨戒艇を撃沈し、河を進んでいく小川達のボート。

しかし小川達の表情は一様に険しい。

「まずいな…」

呟いたのは小暮だった。

敵船を撃破、こちらの被害も最小限、一見すると順調のように見える。

が、敵船を沈めたという事は『こちらの存在をゲリラに知られた』という事だ。

河川哨戒艇も、当然定時連絡くらいは行っている筈。

そして河川哨戒艇からの応答がないとなると、ゲリラ達もアジトから捜索の部隊を送り出すだろう。

船が撃沈させられたとなると、尚更支配地域の警戒は厳しくなり、潜入任務は困難なものとなる。