ボートで川を進み始めてから、しばらく経つ。

もう数キロは進んだだろうか。

他の船とは一度も遭遇する事がない。

豊田や麗華は、緊張の糸を緩めつつある。

小川や小暮は、流石にいまだ警戒を解く事がない。

彼らを見習ってか、谷口と三浦も川岸への警戒を怠らない。

「今のうちに交代で休息と食事をとっておけ。ここから先は食事の時間もとれないかもしれないぞ」

小川の指示で、隊員達は今のうちに船上で食事をとる。

持参した戦闘糧食を取り出し、煮炊きせずに食べられる乾パンと水筒の水で簡単な食事を済ませる。