小川分隊を乗せ、ボートは進む。

エンジンを取り付けた一般的な非武装の小艇だ。

分隊の6人が乗れば、あっという間にいっぱいになる。

「でもジャングルの中を歩き続けるよりはずっとマシです」

風と飛び散る水飛沫に気持ちよさそうに目を細める豊田。

「水はあんまり綺麗じゃないですね…泥水みたいに濁ってて」

麗華が河の様子を眺める。

「ここらは多分アマゾン川の支流のネグロ川だろう。水の中にはあまり手を浸けない方がいい」

水面をパチャパチャやっている麗華に対して三浦が言う。

「え?何で?」

小首を傾げる麗華に。

「アマゾン川全域…特にネグロ川流域付近にはネグロブラックと呼ばれるピラニアの代表格が棲息しているらしいからな。そうやって水面を叩く音に敏感に反応し、群れ全体が興奮状態となると水面が盛り上がるほどの勢いで獲物に喰らい付く」

告げる三浦。

「っっっっ」

麗華は慌てて水から手を引いた。