長い間降り続けた雨がようやく止んだものの、山間はぬかるんで山肌も脆くなっている。

土砂崩れの危険性もある中、小川分隊は危険を厭う事なく山を登っていく。

こんな山の中でも瓦礫は散乱していた。

手で運べる程度のものから、数人がかりでないと持ち上げられないような重量のものまで。

軽いものは女性隊員の二人に任せ、小川と谷口が二手に分かれて材木のような重量物を担いで運ぶ。

「やっぱり頼りになるねぇ、男の隊員は」

豊田が惚れ惚れしたように言う。

「小川分隊長もそうだけど、レンジャー資格を持っている隊員や第一空挺出身の隊員は鍛え方が違うのかしら」

「……」

特に返事する事なく、黙々と作業を続ける谷口。

何気に照れているらしい。