コロンビアの国境を越え、ジャングルに入ってから数キロほど進んだ。

行けども行けども密林が続く。

木の枝や葉が擦れて切り傷を作り、藪蚊に刺されて痒い思いをして、いつの間にか迷彩服の中に紛れ込んでいた小さな蟻に肌を咬まれて痛い思いをして…。

不快指数は上がる一方だ。

「それにこの気温と湿気…やってられねぇや…」

小暮も顔から坊主頭を片手で拭って汗を拭き取る。

比較的ポーカーフェイスの小川や三浦でさえ、参っているようだ。

男同士でさえ、水筒の回し飲みなど構っていられない。

それ程の暑さだった。