そんな三浦と麗華のやり取りを、小川は自身の作業の合間に見ていた。

…少し塞ぎがちだった麗華も元気を取り戻しつつある。

三浦も麗華と会話を交わす事で、このまま分隊に馴染んでくれればいいのだが。

「若いってのはいいよな、後ろ向きになってもすぐ立ち直ってよ」

突然小川の背後で声。

振り向くと、咥え煙草の小暮が立っていた。

「…気配を殺して背後をとらないで下さい」

「しっかしモテるな、三浦の野郎。まだ分隊に加入して二日程度だろ?まぁハーフの男前だからな、お嬢さんがコロリとやられちまうのも無理ねぇか」

そう言って意味ありげに小川の肩を叩く小暮。

「逃がした魚は大きかったってか?なぁ小川」

「……」

この人はどこまで知っているのだろう。

潜入工作を得意とする小暮は侮れない。