部屋のドアがノックされる。

三浦がドアを開けると。

「ご飯の時間よ」

麗華がトレイを両手に立っていた。

欧米の軍隊が所有する『フィールドキッチン』に相当する、戦術陸上自衛隊が装備する野戦用調理器具『野外炊具1号(22改)』で調理した食事。

屋外で大量の調理を行う事ができ、野外演習だけでなく、災害派遣にもその能力を発揮する。

白飯、ワカメの味噌汁、天麩羅が本日のメニューだ。

「悪いな、わざわざ…」

トレイを受け取る三浦。

ところで、麗華の手にはもう一つトレイがある。

「…ここで食うのか?」

「何よ」

麗華はジト目で三浦を見た。

「小川分隊長に貴方の監視を頼まれてるんだから。一緒に食べた方が効率的でしょ?」