「でもさ」

麗華はたどたどしく言葉を紡ぐ。

「私達は武装組織じゃないし、三浦君の事を少年兵とも思っていないよ」

「……?」

彼女の言葉の真意をはかりかねる三浦。

「つまりね…」

困ったように麗華は言葉を付け足す。

「前進のみを強制したりしないし、脱走を阻む為に銃口を向けたりしないの。私達は武装組織じゃなくて『仲間』だから。三浦君を無理矢理戦わせたりしないの。だからってやっぱり三浦君がジャンジャウィードの事憎いと思うのは仕方ないし、前の部隊の仲間を殺されたのは悔しいだろうし、えっと、その…」

麗華の言う事は要領を得ない。

要領を得ないが。

「ああ…わかった」

三浦は微かに笑みを浮かべて頷く。

「独断専行はもうしない…『仲間』の事を信用する」