その日も被災地での瓦礫撤去作業は続く。

災害派遣時の戦術自衛隊の装備は本来『中帽』と呼ばれる軽作業や災害派遣で使用されるヘルメット(合成樹脂製で防弾能力は無いもの)と迷彩服3型なのだが、先に述べた通り、大災厄後の政府機能の麻痺や治安悪化に伴い、小川分隊では戦闘装着セットを装備しての作業となっていた。

それに加えて前日のカマドウマによる襲撃の為、本日からは89式小銃やサイドアームの9ミリ拳銃の所持も命じられた。

9ミリ拳銃とは、スイスSIG社の開発したSIG SAUER P220をライセンス生産したもの。

9ミリパラベラム弾を9発装填可能。

89式小銃には劣るが、万が一カマドウマに襲撃された事を思えば、ないよりはマシだろう。