小川分隊と保護した隊員を乗せた軽装甲機動車が戻ってきたのは、ダルフール地方から離れた安全圏にある、戦術自衛隊の宿営地だった。

広さは凡そ800メートル四方。

周囲を鉄条網や高さ約3メートルの土盛りで囲い、八つの監視塔と待機所が点在し、ゲート脇にはプレハブの警備本部と数十個の倉庫用コンテナが置かれている。

ここで生活している戦術自衛隊員は約100名。

先遣隊で訪れた隊員と、今回派遣されてきた小川分隊らである。

部隊の構成も、陸上自衛隊における防衛大臣直轄の機動運用部隊『中央即応集団』隷下である第一空挺団、中央即応連隊、対特殊武器衛生隊、中央特殊武器防護隊などからの選抜隊員が殆どである。