SAS方式のフォーメーションのまま、地下鉄構内を進む小川分隊。

もう数キロは進軍しただろうか。

「今どの辺りだろうな」

同じポイントマンとして隣を歩く豊田に問いかける谷口。

「そっか、谷口君は日本人じゃないから地下鉄の路線は詳しくないかもね」

豊田が微かに笑む。

「多分上野駅辺りじゃないかしら」

となると、それほど長距離は歩いていないのかもしれない。

暗闇の中、おまけに景色の変化もない地下。

距離感が摑みにくい。