普段なら灯りがついている地下鉄駅の構内も、半年以上人間の手が加えられていないとなると流石に電気も通っていない。

完全な暗闇だ。

「待ってて下さい、今灯りを…」

豊田が所持しているMP5の銃身下部にマウントされているフラッシュライトを点灯させる。

銃取付用の小さなライトだが、銃を構えたまま光源を確保できるという事で、特殊部隊の使用する銃にはよく装備されている。

「よし、豊田と谷口を先頭にSAS方式のフォーメーションを組む」

小川が指示を出す。

ポイントマン(前方警戒)が豊田と谷口、続いてセカンドアタッカーの小川とラジオマン(無線士)の麗華、テールガン(後方警戒)は小暮。

豊田がフラッシュライトで行く手を照らして、警戒しつつ構内を進んでいく。