小暮が携行していたワイヤーカッターで有刺鉄線の障害を切断する。

ここを突破すれば突撃ポイントまでは後一歩だ。

切断が終了し、各隊員が立ち上がって銃火器を構える。

いざ突撃というその時。

「!?」

訓練を監視していた小川がホイッスルを吹いた。

「訓練中止だ」

「ええっ」

跳ねた泥や匍匐の際の汚れ塗れの迷彩服3型のまま、麗華が不満げに声を上げる。

「先程HQより我々の分隊に出撃命令が下った。1420時には全隊員装備を整えて集合だ」

小川が隊員達の顔を見渡しながら言った。