「あんなに訓練したのに…全く歯が立たなかった…」

唇を噛み締める豊田。

「違う、努力が足りないんじゃない」

谷口が豊田を励ますように言う。

「だな…練度の問題じゃねぇ…手榴弾でさえ多分死んでねぇぜ、あの化け物…89式小銃の5.56ミリ弾で太刀打ちできる相手じゃねぇ」

小暮が灰皿で煙草を揉み消した。

小川も小暮と同じ見解だった。

普通科隊員の軽歩兵装備で対抗するには無理がある。

特殊部隊としての訓練を積んだ小川分隊でなければ、撤退すら儘ならず全滅していたかもしれない。