「ちょっと突入は無理ですね…」

花やしきから少し離れた場所にあるビルの屋上。

麗華は対人狙撃銃のスコープで、園内の様子を確認する。

休暇明け。

小川分隊は軽装甲機動車で近くまで接近した後、花やしきにほぼ隣接したこのビルの屋上から偵察していた。

「まともに中に入ったら、あっという間に包囲されますよ」

「それに擬態型もいる可能性がある。園内に入ってから狙撃を受けたら厄介だ」

豊田と谷口が意見を述べる。

「そうだな…よし」

小川が指示を出す。

「俺と小暮三等陸曹でビル屋上からラペリング(懸垂降下)で園内に突入、閃光発音筒で園内のカマドウマ達を行動不能にする。その後で谷口、豊田が突入、敵を掃討する。麗華はこの場所から接近する敵の狙撃と援護を行ってくれ」