話が逸れた。

かつての大戦のような戦争とは形態が異なるとはいえ、これもまた戦争。

どんな形になろうとも、一般市民が被る被害や損失、犠牲、そして兵士が受ける心的外傷は何ら変わりはしない。

小川分隊の若い隊員達…豊田や麗華は勿論、訓練によって精神力を鍛えた谷口でさえ、その心には容赦なく傷を刻み込まれる。

相手が人間でないというだけだ。

日々殺し殺されの繰り返しをしていると、必ず人間は精神に異常を来たす。

肉体とは違い、精神はどんなに鍛えても、そう頑丈にはならないのだ。

高い戦闘技術を身につけ、敵を殺せる術を手に入れたとしても、それを使うのは『機械』ではなく『人間』なのだから。