近年、戦術陸上自衛隊では市街地戦闘訓練の需要が高まっている。

今まで各部隊では宿営地等にある廃屋や、隊舎などの一部を使用したり、またベニヤ板などで部屋などを想定したものを使用しているが、より専門的な訓練場の必要性が指摘され、各方面隊で一ヶ所ずつ市街地戦闘訓練を行う為の『市街地訓練場』と呼ばれる施設を整備している。

戦術自衛隊東部方面隊には富士駐屯地近傍の東富士演習場内に『市街地訓練場』がある。

約3万平方メートル(縦約150メートル、横約200メートル)の市街地訓練場内には総工費約25億円をかけて官公庁舎・テレビ局・学校・銀行・テナントビル・ホテル・マンション・アパート・レストラン・スーパーを模した鉄筋コンクリート造りの施設計10棟と管理棟を合わせた計11棟が建ち、地下鉄などを想定した地下道とヘリポートも設けられており、本格的に都市が再現されている。

建物の屋上や屋内には可動式のテレビカメラが設置されており、管理棟のモニターで一度に40ヵ所の訓練状況を確認できる。

夜間の使用も可能なこの国内最大規模の市街地訓練場が出来た事で全国で唯一、中隊規模(約150人)での市街地戦闘訓練が行えるようになった。

ただ、これでも諸外国の訓練施設と比べると小規模なものである。