コンクリートの建物。

壁際に張り付き、谷口は遮蔽物越しに様子を窺う。

88式鉄帽を被った頭を僅かに覗かせた途端に、雨霰の如く撃ち放たれてくる弾丸。

慌てて頭を引っ込めて、射線が途切れた隙に89式小銃で反撃する。

「あの四階の窓の狙撃手が邪魔だな、排除できるかっ?」

爆発と銃声の中、道路を挟んだ反対側の壁際に身を隠している麗華に向かって叫ぶ谷口。

「やってみます!」

大声で返答した後、麗華は対人狙撃銃を構えて遮蔽物越しに狙撃!

彼女の射撃は見事に建物内の男の頭部を撃ち抜いた。

悲鳴と共に建物の窓から転落、アスファルトに激突して息絶える男。

その眼は、血のような真紅だった。