背筋に悪寒が走る。

小川ほどの精強な自衛隊員でさえ、雨中の闇の中に蠢く群れを前にして無意識の内に後退りしていた。

何だこの生命体は。

見た目の形状は、確かにカマドウマと呼ばれる昆虫に酷使している。

しかしカマドウマとは本来、18.5ミリから21.5ミリ程度の大きさ。

こんな柴犬の成犬…40センチもあるような巨大なものは見た事も聞いた事もない。

そもそもが害虫として認識され、『便所コオロギ』などとも呼ばれるカマドウマ。

それが巨大になった姿は、特に虫を苦手としない小川にさえ嫌悪感を抱かせた。