にもかかわらず、ここまで大きな被害を出す事なく進軍できたのは、偏に戦術自衛隊の隊員達の練度の高さによるもの。

戦術自衛隊は、元々大規模な侵略行為に対しての対処をしてきた。

しかしソ連崩壊や、アメリカ同時多発テロ事件などの世界情勢の変化によって、特に戦術陸上自衛隊は大規模な侵略行為だけでなく、テロリストやゲリラが市街地などに侵入した際の対策を強化している。

ならず者国家の工作船事件などから、このような船で特殊部隊や工作員が上陸する可能性への警戒が強まったのをきっかけに、他の全国の戦術陸上自衛隊の部隊でも対ゲリラ・特殊部隊(ゲリラ・コマンド)や対テロリスト対策の為の試みが行われている。

「CQB(クロース・クォーター・バトル、比較的に敵との間合いが短く、歩兵が主体となって行われる戦闘)やCQC(クロース・クォーター・コンバット、個々の兵士が敵と接触、もしくは接触寸前の極めて近い距離に接近した状況を想定する)の訓練を重点的にやっておいて正解だった」

小川が89式小銃の銃口を前方に向けたまま、クリアリングを続けながら言う。