近代戦においては、戦況不利となった陣営が防御戦闘の為に市街地区を防御陣地として利用する場合が多い。

交通路を遮断し、無数の資材を利用して強固な防御陣地を短時間に構築できる。

無数の有効な火点を立体的に設定できる狭隘な市街中心部には戦闘車両の投入が難しい。

レーダーや赤外線暗視装置、ナイトビジョンといったセンサー類も、開けた土地より格段に使いにくくなる。

防御側は事前に地形と街区の情報が得られ、戦術的に優位に戦う事ができる。

「つまり、私達の方が不利って事ですね?」

対人狙撃銃を構えたまま、後方警戒しながら麗華が言う。

「飲み込みが早いじゃねぇかお嬢さん。つまりはそういうこった」

M16を肩の位置に構え、ピープサイトを覗きつつ小暮が返す。

廃墟、無人となり、カマドウマ達の要塞と化した離島の市街地。

攻め込む戦術自衛隊の部隊は、圧倒的に不利と言えた。