目を凝らし、闇を凝視する小川。
海岸に、何かいる。
「誰かいるのか」
声を上げる小川。
返答はない。
聞こえてくるのは波の音と雨音だけ。
しかしその闇の中。
「!!」
何かがボンヤリと光った。
真紅の、小さな丸い光。
最初は二つだけだったその光が、小川の見ている前で次々と増えていく。
それは、眼だった。
無機質な感情を感じさせない、眼。
やがて小川は気付く。
海岸線にびっしりと、昆虫がいた。
背面から側面にかけては栗色で、腹面や脚の付け根、脛節などは淡色。
各部には多少の濃淡はあるが、目立つ斑紋はない。
体長の三倍以上ある触角で、暗所でも体の周囲全体を探る。
三対ある脚のうち後脚は特別に発達して跳躍に適した形になっており、腿節は体長とほぼ同じ長さがあり、脛節は体長よりも長い。
キリギリスやコオロギに似るが、翅をもたず専ら長い後脚で跳躍する昆虫。
そう、それはカマドウマと呼ばれる昆虫に酷似した、柴犬ほどもある大きさの奇怪な生命体だった。
海岸に、何かいる。
「誰かいるのか」
声を上げる小川。
返答はない。
聞こえてくるのは波の音と雨音だけ。
しかしその闇の中。
「!!」
何かがボンヤリと光った。
真紅の、小さな丸い光。
最初は二つだけだったその光が、小川の見ている前で次々と増えていく。
それは、眼だった。
無機質な感情を感じさせない、眼。
やがて小川は気付く。
海岸線にびっしりと、昆虫がいた。
背面から側面にかけては栗色で、腹面や脚の付け根、脛節などは淡色。
各部には多少の濃淡はあるが、目立つ斑紋はない。
体長の三倍以上ある触角で、暗所でも体の周囲全体を探る。
三対ある脚のうち後脚は特別に発達して跳躍に適した形になっており、腿節は体長とほぼ同じ長さがあり、脛節は体長よりも長い。
キリギリスやコオロギに似るが、翅をもたず専ら長い後脚で跳躍する昆虫。
そう、それはカマドウマと呼ばれる昆虫に酷似した、柴犬ほどもある大きさの奇怪な生命体だった。