ようやく夜が明けてきたというのに、密林の中では日の光すら差し込まない。

視界のよくない中を、それでも速度は緩める事なく走り続ける。

茂みを駆け抜け、倒木を飛び越え、ぬかるむ湿地を水飛沫を上げて走る。

小暮の走る頭上を通り過ぎる影。

「くっ!」

咄嗟に銃口を上に向けて連射!

途端に蜂の巣にされたカマドウマが、樹上から落下してきた。

まるで忍者にでも追跡されているみたいだ。

どこから襲撃されるか分からない。

兵士やテロリストを相手にしているのとはまるで違う戦術に、厳しい訓練を積んだWAiR隊員の小暮でさえ戦慄する。