上陸してから約一時間が経過した0425時。

「……!」

闇の密林の中で蠢く影を見つけ、小暮は身を低くする。

個人用暗視装置JGVS-V8で確認すると、赤い複眼を動かしながらうろついている複数の人型カマドウマの姿。

「…砂浜から上陸して数百メートルほど進んだ密林地帯で人型を確認…連中のオツムが多少なり賢いとすれば、見張り役と思われる…隠密裏に進軍するなら、無音殺傷による排除が必要だ」

無線で情報を送りながら、小暮は音を立てないように移動する。

単独潜入した小暮の現在の目的は、敵の殲滅ではない。

極力戦闘を避け、より最深部に潜入する必要があった。