「小川分隊長」

傍らで小暮の様子を見ていた小川に、麗華は問いかける。

「小暮三等陸曹って、どういう方なんですか?小川分隊長は以前からお知り合いなんですか?」

まだまだ戦術自衛隊員としては新米の麗華からしてみれば、小暮の任務前の余裕は特異なものに見えるに違いない。

「…小暮三等陸曹とは、レンジャー養成課程の時に出会った」

小川は小暮を頼もしそうに見ながら言う。

「当時はお互いに陸士長だったな…養成課程の中でバディ(二人一組のチーム)を組まされてな。着衣の乱れや髭の剃り残しで、よく教官に腕立て伏せをさせられたもんだ。だが素行とは裏腹に、小暮三等陸曹の成績は抜群だった…」

「そ、そうなんですか…」

麗華が目を丸くする。