準備を整える小暮の様子を、麗華は見ている。

彼女は単独潜入任務の経験はない。

それ故に全ては想像に過ぎないが、普通単独潜入任務前というのは極度の緊張に苛まれるのではないか。

無線以外のサポートはない、援護もない、任務達成まで増援も来ない。

万が一潜入先で敵に包囲されても、窮地は一人で切り抜けなければならない。

捕まれば最期だ。

カマドウマは兵士ではない。

捕虜などとらない。

その場で無惨に嬲り殺しに遭うだろう。

なのにそんな任務前に、小暮は口笛吹きつつ準備を整え、準備が出来るや煙草に火を点けて一服している。