「何考えてんのっっっ!」

腰に手を当て、ツカツカと歩み寄ってくる豊田。

空挺隊員という猛者の谷口が、女性一般隊員の豊田に気圧されるという珍しい光景だ。

「な、何を怒っている…?」

「昨夜ようやく小川分隊長達に救出されて、しっかり休息をとるようにって指示されたその翌朝に何てキツイ訓練してんのっ!バカじゃないの谷口君っ!」

「お、俺はもうしっかり休養をとったから…」

「そんな訳ないでしょっ!ほら!ほらぁっ!」

谷口の迷彩服の袖を強引に捲り上げる豊田。

「まだ肘の怪我、全然治ってないじゃない!こんなに腫れてるのに!」

「こ、こんな怪我、もう何とも…」

「治るまでは休養がとれたとは言えないのっっっ!」

宿営地全域に響き渡る豊田の声に、他の隊員達が何事かと顔を覗かせる。

「豊田さぁん、痴話喧嘩ですかぁ?」

クシシと笑いながら冷やかす麗華に。

「うるっっっっさいっっ!」

豊田は物凄い剣幕で怒鳴った。