「う…っ」

山中の進軍の最中。

豊田がガクリと片膝をつく。

「豊田」

すぐに駆け寄る小川。

分隊は進軍を止め、谷口が前方を、麗華が後方を警戒に当たる。

「大丈夫か豊田」

「はい…すみません、目眩がして…」

肩を貸す小川に支えられ、豊田は何とか立ち上がる。

無理もない。

彼女は一晩遭難して、その足でカマドウマ掃討任務に当たっている。

本来ならばすぐにでも宿営地に帰投して休息をとらせたい所だ。