雨は夜になっても降り続いた。

瓦礫の撤去作業は日没と共に終了し、小川分隊は被災地の宿営地へと戻る。

プレハブの仮設住居と同じ、簡素な造りの宿営地。

被災地の復興作業が終わるまでは、小川分隊の住居になる。

「今日もきつかったですねぇ…」

夕食を終え、入浴を済ませた麗華が肩口までのストレートの淡い髪を拭き取りながら言う。

戦術自衛隊の隊員という事もあって普段から化粧っ気もない麗華だが、実は見目は悪くない。

本人は母親似だと言うので、余程その母親が美人だったのだろう。

「片付けても片付けてもなくならないわね、瓦礫」

麗華の言葉に返事するのは豊田。

こちらは背中までの栗色の長い髪。

癖っ毛らしく、纏めるのに悪戦苦闘している。

彼女も美人の部類だ。

二人とも殆ど男所帯の戦術自衛隊にあって、アイドル扱いされるのも無理はなかった。