「葵」 遠くで慶介の声が聞こえる。 「葵……」 あたしを呼ぶ優しい声。 誰…? ……………慶介? 朦朧とする意識の中、あたしは重たい目を無理矢理あけた。 あたしの顔を心配そうに覗き込んでいる人…… 「大丈夫?」 それは、慶介じゃなくて雪絵さんだった。 濡れた長い髪を1つに束ねている姿が色っぽく見える。 「葵ちゃん、気分は?」 雪絵さんのその言葉に我にかえる。 「あれ?…あたし」 あたしは体をゆっくり起こした。 そんなあたしの体をすかさず押し戻す。 「駄目よ。まだ寝てなきゃ」