「・・・・葵・・・・」 凛とした声が耳に届く。 教会の中で、慶介の心地よい低音の声はやたらと鮮明に聞こえて、あたしはハッとして顔を上げた。 真っ直ぐに、あたしを見つめるその瞳に吸い込まれそうな感覚になって、あたしは息を呑んだ。 迷いのないその瞳。 あたしは、この瞳が好きなんだ。 もう、好きなとこを言ったらキリがないよ。 慶介の瞳に恥じないように、あたしも真っ直ぐに見つめ返した。 「葵」 そして、確かめるようにもう一度あたしの名前を呼ぶと、慶介は小さく息を吸い込んだ。