そしてジュンヤ君は、急に真面目な表情を作りあたしを真っ直ぐに見つめた。
その大きな黒目がちの瞳に思わずあたしはたじろいでしまう。
「葵ちゃん。この世の中に偶然なんてのはないんだよ。
こうして今日俺と葵ちゃんが会ったのだって偶然じゃない。
全部決まっていた事。」
「・・・・はぁ」
「わかる?」
「なんとなく」
とは言ったものの、あたしにはジュンヤ君の言っている意味がわからなくて首を傾げた。
そんなあたしを見て、ジュンヤ君はクスリと笑った。
「偶然じゃなくて必然」
「・・・・・」
そう言って、残っていたコーヒーを飲み干すジュンヤ君をぼんやり眺めた。
ぜんぶ、決まってる・・・・・。
考えてみると、うまくいきすぎてる。
慶介の婚約。
絵梨ちゃん。
瑛太。
美羽の合コン計画とジュンヤ君の言葉。
それに・・・・あの日の記憶・・・・。
「・・・・・・あたし・・・・・・・」
――――――――――思い出した



