止まない雨はない―――
確かにそう。
必ず朝は来る――――
確かに、そうだけど・・・
あたしは、あたしの心が晴れるとは思えない。
暗い闇の中を彷徨って・・・
このまま闇に溶けてしまいそうだよ。
この世の中からいなくなりたい。
そして、慶介にふさわしい女の子になって
もう一度・・・慶介と・・・・・・。
ダメ・・・
苦しい。
苦しいよ・・・・。
抜け出せない。どうしたらいいのかもわからない・・・・。
街の中をフラフラして、あたしが家に帰ってきたのは午後11時を回っていた。
「・・・・ただいま」
そう呟くと、のそのそと靴を脱いだ。
「葵!?」
勢い良くリビングの扉が開いたと思ったら、お母さんが飛び出てきた。
「あんた、どこ行ってたの?連絡もしないでッ。みんな心配してたんだよ」
怒ったような安心したような複雑な表情で、お母さんはあたしの肩を掴んでぐらぐらと揺さぶる。
そのせいで視界がグルグル回って見えた。
「や・・・やめ・・・ごめんなさい」
「よかった・・・」
ひとしきりあたしを揺さぶったお母さんはそのままあたしをその豊満な胸に押し付けた。
お母さんの肩越しに、お父さんと亮が顔を出した。
「・・・葵。良かった。何かあったかとおもった」
「父さんも母さんも、葵が思いつめてなにかしでかしたんじゃいかって・・・
色んなところに電話しまくってたんだぜ」
扉にもたれかかるようにして、亮は半ば呆れ顔だ。
「・・・ほんとにごめんなさい」
あたしは母の温もりを感じて、なんだか鼻の奥がツンとした。