午後6時――
とっくに太陽は姿を消し、かわりに月が夜空にぽっかり浮かんでいる。
寒いせいか、その周りの星達まで輝きを失わない。
あたしは家の近くの公園のベンチに座って自分の吐く白い息越しに夜空をぼんやり眺めた。
―――誰かが言ってた。
本当に空気が澄んでいて、塵も汚れもない、すごく寒いところでは息は白くならないって。
だからきっと北極とか南極にみたいに汚れていないところには化学変化を起こしてしまう塵が存在しないんだ・・・。
あたしは、口元をマフラーで覆った。
キレイに見える夜空が、あたしの息で見えなくならないように。
「葵?」
不意に名前を呼ばれて、あたしは体を震わせた。
「・・・・・・なんだ・・・びっくりした」
あたしを呼んだその人物は、ゆっくりと近づいてくる。



