瑛太の一見怖そうな風貌。
キレイな顔立ち。
太陽のような笑顔。
その甘いマスクから発せられるハスキーな歌声。



アップテンポの曲は聴く人を笑顔にさせ、しっとりとした曲は観客の涙を誘う。


素人ながら、瑛太たちはすごいと思った。





あたしはハッとして慶介を探した。
振り返った先に慶介の姿は見あたらなった。




帰ったのかな?





こんな所で会うのも変だけど、慶介がどうしていたのかがとっても気になる。

瑛太のバンドが好きだったとか?




うんん、慶介の家で見たCDのほとんどは洋楽だった。
だから、好きでここにいたわけではないと思う。



あたしはそれを確かめたかった。








数分後――



次のバンドの演奏が始まった。

また、ライブハウス内は熱狂と興奮の渦に飲み込まれていく。





ぐえぇぇ!

苦しいぃぃぃぃぃッ!!!





次々に前へ押し寄せる人の波。
あたしはその波とは反対に進んだ。



何度も転びそうになって、ようやく外に出られた時にはあたしはもうボロボロになっていた。



すでに陽は落ちて、下弦の月が静かに光を放っている。
その周りにも、無数に輝く満天の星達。




今夜は、とても星がキレイ。




――・・・Just call my name   
So call my name・・・――



ただ名前を呼んで・・・
「ボク」の名前を呼んで・・・





まるで瑛太の歌声がまだ耳に残っているようだった。