もうダメかと思った瞬間――――
「・・・・・・?」
いつまでたってもなにも起こらない事に、あたしは閉じていた目を恐る恐る開けた。
「あ・・・・」
その瞬間、あたしにはすべてスローモーションのように動いて見えた。
「いい加減にしないかっ」
目を開けたあたしの視界に飛び込んできたのは・・・・
「慶介・・・?どうして・・・」
「くっ・・・・なんなんだ、てめぇは・・・」
そこにいたのは慶介。
会いたくて。
会いたくて。
会いたくて仕方なかった人。
その人があたしの目の前にいる。
ギリギリと男の腕を締め上げる慶介。
その力に、男の顔は苦痛に歪む。
そして、慶介は静かにその腕を離した。
「ちっ・・・・」
男は悔しそうに、掴まれていた腕を握りしめて、その場を走り去ってしまった。
助かった・・・・
「はぁ・・・お前達は二人して何してるんだ」
安堵の溜息を漏らしたと同時に、呆れたような視線をあたしと絵梨ちゃんに向けた。
怖かったよ・・・・・・
すごく・・・怖かった・・・・・・・
慶介は、どうしていつもあたしを助けてくれるの?
まるで、スーパーマンだよ・・・・
涙で視界がどんどんぼやけてくる。
「丁度、俺がここを通ったから良かったものの・・・
万が一何かあったら・・・どうするつもりだったんだ?
いつも言ってただろ、この道は通るなって・・・・・って、おぃ!?」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
慶介に思わずしがみつきたくなる衝動は、行き場をなくして固る。
あたしはただ、慶介の胸に顔を埋めて泣いている絵梨ちゃんを見つめる事しかできなかった。



