あたしの手の中には、しっかりと握られた一枚のB5の用紙。
そして、たった今、新規のアドレスを登録しちゃった携帯と。
目の前には輝く笑顔の慶介。
・・・じゃなくて、瑛太。
絶対、間違ってる。
「じゃーな、葵。明日も待ってるから、絶対来いよ」
瑛太の手が肩にのしかかる。
あたしはそれを軽くかわして、ムッとして瑛太を見上げた。
「絶対、行かない」
「葵は来るよ、絶対。」
「・・・・意味わかんないし」
「はあ」と溜息をついて、あたしは瑛太に背を向けた。
なんなの?
一体、どうゆうつもりなんだろ。
ライブに来てほしいなら、自分の友達とか・・・
ほら、あの日遊園地で熱烈なチューをしてた女の子誘えばいいじゃない!
なんて思いながら、手元の紙に目を通す。
12月7日・・・今週の日曜日だ。
あたし、やだ!
絶対、行かない!!!
そう、心に誓って、携帯と瑛太に手渡された紙を無造作に鞄に突っ込んだ。
ふと、後ろが気になってちょっとだけ振り返ってみる。
あたしが帰るのをまだ見送っていた瑛太と視線がぶつかった。
・・・なんで?
あたしと目が合ったのがわかった瑛太は満面の笑顔で大袈裟に手を振った。
「・・・・・ぷ」
なに、あれ。
はしゃいでいる瑛太を、あたしは複雑な気持ちで眺めていた。
慶介・・・・・
あなたは今、なにをしていますか?



