『葵、最近絵梨は来てないのか?』
受話器越しに聞こえる、慶介の低音。
「え!?な、なんで!?」
あたしは、その言葉と声に必要以上に動揺してしまう。
『・・・・別に。来てないならいいが』
「来てない来てない!!ぜんっぜん来てない!!!」
あたしは思わず、目の前で手を振ってしまった。
『・・・・・・・・・』
慶介の疑いの白い目が、受話器を通してあたしを見透かしているみたいで、思わず目をギュッと閉じた。
『葵』
「は、はい」
慶介が一呼吸おいて、探るようにあたしの名前を呼んだ。
あたしは、その声にハッとして顔を上げる。



