「もう知らないからな」
「え?」
慶介はそう言うと、強引にあたしの体を振り向かせると乱暴にキスをした。
「んっ・・・」
「・・・」
膝がガクガクと震えだす。
慶介はあたしの髪を掻き上げて、深く深くキスをする。
あたしもそれに必死に応える。
向きをかえ、あたし達はまたベッドに倒れこんだ。
ベッドが大きく軋む音がした。
「・・・ん・・」
「・・・・」
慶介は、あたしの唇からだんだんと首筋に伸びて鎖骨辺りにキスを繰り返す。
慶介の手が伸びて服の上から小さな膨らみに触れた。
「やっ・・・」
あたしはそれに過剰に反応してしまう。
「・・・イヤか?」
慶介はあたしの顔を覗き込む。
その瞳に吸い込まれそうになる。
慶介のその瞳に一瞬不安の色が射したのはあたしの、考えすぎだろうか。
「うんん・・・やじゃないよ」
フルフルと首を横に振って、あたしはにっこり笑ってみせた。
慶介は口の端をクイッと上げて悪戯に笑った。
「・・・ま。イヤだって言っても、もう遅いけど」
「へ?」
慶介はそう言って、優しく微笑むとあたしにキスを降らした。
大事に大事に、キスを・・・・
――――お父さん。
ごめんなさい。
あの“約束”守れそうにないです。
月夜が照らすこの部屋で、あたしは慶介と初めて一つになった。
それはまるで夢のようで・・・
大きな穏やかな海に、プカプカ浮いているような不思議な感覚で・・・・
慶介をもっともっと、好きになった。